睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome 以後SASとします)とは・・・寝ている時に呼吸がとまり、大きないびきを繰り返す病気です。
睡眠時無呼吸症候群は、健康と思われる成人にも数多く潜在しています。
高血圧・脳梗塞・心筋梗塞などの循環器疾患・夜間突然死との関連も指摘されています。
日中の眠気による交通事故死・労働災害・仕事や学業の能率低下など、極めて重大な社会問題を引き起こす病気です。
SASは、さまざまな生活習慣病を合併するといわれ、SASでない患者さんに比べて下記のような危険性が報告されています。
SASの合併症
高血圧症が2倍、冠動脈疾患が3倍、脳血管障害が4倍の発症危険率があるといわれています。
その他の合併症:動脈硬化・不整脈・糖尿病・高脂血症・心不全などです。
SASは、生活習慣病の隠れた危険因子であるとも言えます。
SASは、大人だけではなく子供にもみられます。
子供のSASは、成長ホルモンの分泌が低下し、発達障害・行動障害・学力低下などを招くことがあります。
●特に習慣性の強いいびきのある場合
心筋梗塞の発生が4倍といわれています。
●交通事故の発生率
SAS特有の症状である日中の眠気のために、交通事故や災害事故を起こす危険性が高くなります。
居眠り運転による事故は、一般ドライバーの7倍の発生率があるといわれています。
●有病率
人口の1~2%といわれています。
症状
習慣性の強いいびきや日中の強い眠気が出現する。
●SASのタイプ
閉塞型・・・SASの中で一番多いタイプです。無呼吸の時に胸郭や腹壁の呼吸運動は保たれるが上気道が閉塞し、口や鼻からの呼吸が停止する無呼吸の型のことをいいます。
閉塞型睡眠時無呼吸症候群の病因としては、大きな扁桃や舌根が沈下し、上気道が閉塞し、無呼吸になると考えられます。
閉塞型睡眠時無呼吸は、「いびき」を伴います。いびきは、無呼吸時には現れませんが、呼吸が再開する時には大きないびきが見られます。
その後、数回の呼吸といびきがおきた後に、再び無呼吸状態になります。
中枢型・・・呼吸中枢機能の低下が原因で、呼吸筋の運動が停止する無呼吸型のことをいいます。一般に脳幹の呼吸中枢機能が原因といわれています。
SASの検査
当院では、問診・診察後に簡易式(図1)で検査を行い、その結果にてポリソムノグラフィーの検査を行っていきます。(他院紹介いたします)
簡易式は、自宅でも検査できます。
(図1)
SASの治療
CPAP(持続腸圧呼吸療法)による治療
睡眠中に鼻から一定の空気圧を送り込み、上気道の閉塞を取り除き、気道を確保する治療法です(図2)
(図2)
写真提供:フジレスピロニクス